この『深追い』横山秀夫、2002年12月発行、も面白い。
深追い、又聞き、引き継ぎ、訳あり、締め出し、仕返し、人ごと、の7編が載っています。
それぞれによく書かれた作品って感じですね。
帯には
・・・事故と事件の狭間に揺れる様々な思惑を
見事に描く著者独自の警察小説
この横山秀夫さんの作品、ほかにも第5回松本清張賞を受賞した『陰の季節』、第53回日本推理作家協会賞短編部門賞を受賞した『同期』、それから『半落ち』、『顔』・・・
『深追い』のなかのこんな文章もいい・・・
> そういう時期だったとしかいえない。女を知らない十五歳の少年が、十五歳の少女の何をどう
わかればよかったというのだろう。あれから何人もの女を知った。修羅場のような別れも経験した。だが、あの夏の、泣きたくなるような切ない気持ちは今も消えることなく胸にある。
秋葉は、三十二歳の明子を見つめた。
・・・・
『人ごと』には・・・
>「セントポーリアは、人間とよく似ていると思います。子供は、親が思うようには育たない。生まれ持った性格や様々な人との出会いによって、色を変えながら成長していくものでしょう。でも、どれほど色が違ってしまったからといって、親子でなくなってしまうわけではないんですよね」
> また一緒にやりましょう。
いい言葉だと思った。「隣の係長」でしかなかった男が、ぐっと身近に感じられて心地よかった。多々良巌と出会ったからに違いなかった。以前に比べて人との距離が詰まっている。自分から詰めている。そう感じることが多くなっていた。